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「倉庫」と「物流センター」の違い

「仕分ける」という革命

物流センターという呼び方もだいぶ世の中に浸透してきたのではないでしょうか?自分の商品を保管しておく場所を「倉庫」から「物流センター」と呼ぶように変更した企業もここ20年〜30年でとても多くなったように思います。「倉庫」と呼ぶより「物流センター」と呼んだ方がわかりやすい・親しみやすい印象を受けます。
では実際の違いはあるのでしょうか?ここでは「倉庫」と「物流センター」の違いについてご紹介します。

「倉庫」と「物流センター」の違いは、実は言葉の与える印象以上に中身(機能)がかなり異なるものであることはあまり知られていません。

倉庫というのは非常に古い社会装置であり、歴史の授業で習う縄文時代の高床式倉庫から近代まで、構造的な変化はありましたが機能面の変化はありませんでした。倉庫は保管することがメインの機能であり、基本的には入荷した時の商品の状態と出荷した時の商品の状態が同じであることが期待されます。”同じ商品を同じ状態に保つこと”、これが倉庫の機能です。

一方、物流センターは倉庫に「仕分ける」という機能を追加しました。この一見、簡単そうな「仕分ける」という業務が流通の概念を変え、さらには小売業にも大きな変化をもたらしました。

「物流センター」で「仕分ける」という行為を始めたのは実は高度経済成長以降になります。それまではメーカーが自社の「倉庫」からある程度の商品の塊(ロット)で百貨店や川下の工場に納品するのが当たり前でした。その時代の物流はケース単位の取扱が基本のため、多くの種類を取り扱える店は百貨店やショッピングモールに限られ、地元の小売店や専門店(八百屋さん、魚屋さん)は特定の商品しか取り扱えませんでした。倉庫から始まる流通起因により私たち消費者の購買行動は、一度に多くの種類の商品を入手するためには百貨店のような大型のお店に出かけるか、または、小売店や専門店が軒を連ねる商店街を回遊するかを選択する必要がありました。

 

 

 

 

「仕分け」が生んだ新たな販売形態

「倉庫」が商品を「仕分ける」という業務を行い「物流センター」に変わってから、これが大きく変わっていきます。例えば、コンビニはかつての町の専門の小売店と同じスペースに実に100倍以上の種類の商品が置かれるようになりました。これを実現したのがメーカーから商品が直接届けられる従来型の流通から流通上に「物流センター」を配置し、そこで様々なメーカーから届いた商品を各店舗別に「仕分ける」ということができるようになったからです。

近年のECの発達もこの「仕分ける」という行為の発達抜きに語ることはできません。大手ECのamazon.comの「仕分ける」機能は数百万という種類の商品を特定の個人向けに「仕分ける」ことができます。amazon.com自体が自分たちを「物流会社」である、とコメントしていることはとても有名ですが、彼らの強みはマーケティング・ブランディングによる顧客の囲い込みだけではなく、この誰も真似できない「仕分ける」機能も1つの要因として挙げられることは間違いありません。

 

 

「仕分ける」という一見、単純な業務が実は流通・小売のあり方を大きく変えた、または流通・小売の新しい要求を「仕分ける」という形で実現できた企業が時代の勝者になってきたということが分かるかと思います。このどちらが先かというのはビジネス上はどちらでもいいことなのですが、今後のビジネスを加速させていくためにこの当たり前のことを高度に実現していかなければ勝てる事業に成長しないということです。

 

 

今後の「仕分ける」のあり方

今後「仕分ける」という業務はさらに洗練されていくことが予想されます。大ロット少品種の「倉庫」から、小ロット多品種の「物流センター」へ変化させましたが、mercari等のC2Cの市場は更に複雑な仕分けを必要としています。言うなれば無ロット無数品種という一点モノを無数の消費者に届けるための「仕分ける」業務です。
現状、C2Cの物流センターを大規模に運営できているプレイヤーは市場にいません。これは単純に今の物流システムでは実現できていないからです。もちろん、C2Cだけがこれからの市場の将来性ではありません。単純に見えて進化の途中にある物流とその物流が変革した先にある販売形態に、今後ますますのソリューションが求められています。